ゆべ白石の軌跡

出来事、価値観、制作物などの記録を行っていました。note移行に伴い更新停止【2020.1.8~2022.6.28】

色覚異常の検査について思うこと

世の中には色覚異常というものが存在する。色覚異常にも様々な種類があるが、先天性の色覚異常には一般的には日本人男性の約5%、日本人女性の約0.2%がこれに該当すると言われている。無論、私もその5%に当る人間であるが、ひとつ主張したいことは「男性だけでも100人に5人、つまり20人に1人が先天的な色覚異常を持っている」ということである。

私が持っているのは、おそらく2型色覚異常(正確には2型3色覚と思われる)だと思う。早くもラクガキが好きだった幼少期から自覚しており、「黄緑色で塗ったところと橙色で塗ったところが同じ色に見える」というものだった。それ以外は概ね見分けがつくのだけれど、どうしてもの系列の色同士は一瞬で判断がつかないことが多いのである。

中学2年生のとき。社会のテストを返され、採点ミスがないかチェックをしようとしたところ、ちょうど光の加減がよろしくなかったようで、「赤のボールペン緑のボールペンで丸つけされているところの見分けがつかない」という事態に陥った。代わりに友達に頼んで確認をしてもらったが、それは今までで最も深刻に症状が出たケースであった。

もちろん、区別が難しいのは系列やピンク灰色といった彩度が低い色同士に限定されるため、日常生活には大した影響は出ない。しかしながら、社会においては、一定の職種に就職できないという事態が発生する。

私が幼い頃に志していた「電車の運転士」もそれに該当してしまう(免許試験の受験すら不可能)。それだけではない。Wikipediaには、『航空関係の整備士、商業デザイナー、警察官、看護師、獣医師、カメラマン、食品の鮮度を確認する作業が伴う業務、美容・服飾関係の業務については2色覚での就業が困難としている』との記述がある。

この2型色覚異常というのは、専ら染色体の遺伝子によって受け継がれて発症する先天的なものであるから、こうなってしまうのもやむなしとするしかないだろう。しかし、定期的な色覚異常の検査の実施によって、その症状の程度を把握し、特定の職種への就業の適否を問うことはできないだろうか。また、学校で色覚検査が行われなくなったことで認知度が下がってしまい、自分が色覚異常を持っていることを知らないまま就職活動に励み、まもなく目標が達成されようとしているときに色覚異常が発覚する...という悲惨な事態も起こってしまっているようだ。

少なくとも20人に1人が持つこの色覚異常。このような極めて身近なものが遠ざかってしまっている現状に、突然夢を壊されてしまう人が後を絶たないのではないかと懸念を抱いてる。