仰げば尊し
あっけなく18になり、あっけなく受験が終わり、冬が終わり、そしてあっけなく卒業式を迎えた。
あっけにとられた僕の目の前で、卒業式が淡々と進行していた。
仰げば尊し 我が師の恩
君が代は斉唱せず、ただ聴くだけだった。
結局、卒業式で歌唱をすることはなかった。式は2時間ほどで終わった。
教の庭にも はや幾歳
スマホの普及のおかげで、人と人とのつながりは、物理的距離によって簡単には切れなくなった。
しかし、それでも何かが切れ、何かを忘れ、何かを残していく。人とはそういうものだろう。
思えば いと疾し この年月
小中高を振り返る。自分が思い出として頭の中に残していることは何だろう。
大学生活を想像する。自分にとって大学とは、小中高とは全くその存在意義が違う。自分がこれから目指すべき自分の姿とは何だろう。
今こそ 別れめ いざさらば
霞んだ12年間に「さようなら」。
「我以外 皆我師」
これは担任の先生が、クラス全員に配ったメッセージカードに記していたことばだ。
互いにむつみし 日ごろの恩
18年も生きれば、人は成長する。強くなる。それでも、どこか足りないところが絶対にあってしまうものだ。
別るる後にも やよ 忘るな
「わが師」とは、決して先人や後人たちのことだけではない。同じ日に、同じ場所で、同じ制服を着て、同じ卒業式を迎えた人たちのことでもある。
身を立て 名をあげ やよ 励めよ
自分を自分たらしめること。それは、周りに人々がいるからこそできることである。僕にとっては、大切にしたい周りがいて、大切にしたい自分が在って、それに励むことができていればそれで「立身出世」なのだった。
今こそ 別れめ いざさらば
共に過ごした皆に「ありがとう」。
我が師の恩を忘れることはありません。
2021. 3.17